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失敗しないポルシェ911(930)の中古購入ガイド(総括編)|ポルシェのプロが教えるチェックポイントと購入のコツ

失敗しないポルシェ911(930)の中古購入ガイド(総括編)|ポルシェのプロが教えるチェックポイントと購入のコツ

導入

930型のポルシェ911がデビューしたのは1974年と、すでに半世紀以上も前であることに改めて驚かされます。そして1989年まで、実に15年もの長きにわたってポルシェのシンボルであり続けたのです。その間に、排ガス規制や911そのものの消滅の危機などを乗り越え、毎年のようにさまざまな改良が加えられていきます。いまも多くのポルシェフリークに愛されている930型のポルシェ911、1989年に最後のモデルがラインオフしたとき、工場にラインにいた社員が涙したというエピソードも残っているほど、911の歴史を語るうえでなくてはならないモデルといえるでしょう。

最終モデルですら、すでに35年以上も前に生産されたクルマです。初期のモデルともなれば50年選手であり、もはやクラシックカーの領域です。

そこで今回は「失敗しないポルシェ911(930)の中古購入ガイド|ポルシェのプロが教えるチェックポイントと購入のコツ」と題して、少しでも有益な情報、現場の生の声をご紹介します!

中古でポルシェ911(930)を買う前に知っておくべきポイント

930型のポルシェ911に関していえば、メーカーが「ポルシェクラシック」というサービスを展開しており、エンジン・ミッション・ブレーキといった機関系は今でも入手が可能です。

また、長年にわたって生産され、さらには世界各国で販売されたこと(特にアメリカ市場)が功を奏し、各種フィルターやクラッチ、ブレーキパッド、シール類といった消耗品の入手は比較的容易です。しかし、内装系のパーツ、ドアトリムやカーペット類などは廃番も多く、中古やリプロダクト品頼みが現状です。

930の中古車市場に関していうと、もはや「時価」に近い状況です。930型のモデルサイクルでは後半にあたる1984年〜1989年にかけて販売され、人気を博した「カレラ」はそもそもタマ数がありません。

現在販売されている中古車の多くが「ASK」と表示され、低走行かつオリジナル度が高い個体ともなれば2000万円を優に超えてくるケースも珍しくありません。また、排ガス規制の影響を受けてパワーダウンを余儀なくされた1970年代後半の930型も、見た目のコンディションが良さそうな個体は1000万円オーバーがあたりまえとなっています。そのほか、ターボ、スピードスターといった希少車は数千万円の値段で販売されています。この車両本体価格に加えてここからさらに整備代が上乗せされてくるわけですから、潤沢な予算がなければ購入はもちろん、維持することも厳しいといわざるを得ないでしょう。

また、1世代後の964型と比較して、930型はあきらかにドライバー側がクルマに歩み寄る必要があります。具体的には使い方や、アクセル&クラッチワーク、シフトチェンジなど、ドライバーがクルマに合わせていくイメージです。これに加えて、エアコンをはじめとする快適装備ははじめから期待してはいけません。よって、通勤なども含めた日常の足にできるのは964までがギリギリの範囲です。では、930型でどのあたりの年式を買えばいいのか!? とご質問を受けたとき、やはりできるだけ高年式の方をおすすめします。モデル末期にあたる1987年〜1989年のモデルの930型です。

ではここで、930型のポルシェ911の購入を検討する上で、事前に知っておきたいチェックポイントをピックアップしてみましょう。

⚫︎具体的なチェックポイント1:ボディ周り

クルマの生命線は「ボディ」です。ボディ本体が錆びだらけだったり、事故などによる修復がきちんと行われていない個体が市場に流通している可能性は否定できません。かといって、最終モデルですら35年以上も前に造られたクルマです。これまで1度も板金修理が行われていない個体を見つけるのは至難の業であり、仮に見つかったとしても天文学的な価格になるはずです。

見分け方としてはフロントのトランクを開け、バッテリー付近の錆の具合をチェックしてみてください。あとは左右のドアを開けて、Aピラーの下あたりがどうなっているか。そういったところを覗けるだけ覗いて確認するようにしてください。あとはエンジンルーム内のサスペンションの取り付け部分がどうなっているか、ではありますが、このあたりは予備知識なしの初見で見分けるのは難しいと思われるので、930型を所有しているオーナーなどにも見てもらった方がいいかもしれません。

「修復歴あり」だからといってはじめから除外するのはおすすめしません。要は「きちんと修復されているか」が重要なポイントです。長年、ポルシェに精通しているボディショップが直していることが確認できる書類や写真などが残っていたら、相場より割安でボディの状態が良い個体が手に入るかもしれません。手前味噌ですが、当店ではこのあたりの状態をチェックし、問題がないと判断した個体を在庫車両として販売しています。

⚫︎具体的なチェックポイント2:トランスミッションのシンクロの劣化

こればかりは実際に試乗してみないと分かりませんが、たとえば2速に入れづらい、引っかかるような感覚のときはシンクロが痛んでいる可能性があります。3速から2速にシフトダウンするとき、回転を合わせているはずなのに引っかかるようなときは要注意です。

トランスミッションでいうと、1986年モデルまではポルシェシンクロ(915ミッション)で、1987年モデル以降はG50に変わります。多少なりともシフトフィールが向上したのはG50ですが、昔からいわれる「ナイフでバターをかきまわす…」といった、独特のフィーリングが味わえるのはポルシェシンクロまでです。空冷モデルの911に不慣れで、いきなりポルシェシンクロに乗ると「何速に入っているか分からない」と思われるかもしれません。慣れてくるとそこがまた魅力ではあります。

シンクロが痛んでいる可能性が高い場合、交換となります。クルマをリフトアップしてエンジンごとトランスミッションを車体から下ろし、その後、ミッションケースを割ってみて、中身を見て初めて状態が確認できます。また、経年劣化によるオーバーホールが必要な場合もあります。オーバーホールするとなると、目安として数十万円単位での出費となります。

⚫︎具体的なチェックポイント3:ディーラー車か、それとも並行車か

カレラをはじめとするNA系のモデルは、もはやディーラー車or並行車かよりもクルマのコンディションを重視した方がいいと思います。現在に至るまでどれだけ整備されてきたかが分かる、どこで整備されてきたのかが分かる整備記録簿がきちんと残されているかですね。

むしろ930系で大変なのはターボの方です。まず暑さに弱いです。エンジンの圧縮比が7.0:1ですから(初期のターボは6.5:1)、カレラ系に比べて熱ダレしやすいです。夏場は乗れません。また社外品のマフラーが装着されている場合は触媒レスの可能性もあるので、車検時に苦労します。できるだけ純正のマフラーが装着されている個体をおすすめします。

3.安心してポルシェ911(930)を買うための「良いショップ」の条件

ポルシェ911(930)を販売するだけであれば、どの中古車販売店でもできます。問題はアフターフォローです。お客様にご納車したあとに適切なメンテナンスができる環境が整っているかが重要になってきます。そのなかでも理想的なのは「自社工場を持ち、ポルシェ911(930)に精通したメカニックが在籍している」環境です。

空冷時代のポルシェ911のメンテナンスには独自のノウハウが必要です。輸入車のメンテナンスが得意な整備工場だから安心…というわけではありません。無理やり整備して壊してしまうといったことが実際にあります。そこで外部に委託するのです。特に930型ともなれば、ナローポルシェから続く、アナログ色が強い時代のモデルです。担当するメカニックのメンテナンス次第で、劇的にクルマのコンディションが良くなる反面、本来のエンジンパワーやフィーリングが味わえないほどに調子を崩してしまうこともあるのです。

また、メーターを外して走行距離の改ざん(巻き戻しやメーターバックなどと呼ばれます)ができた時代のクルマだけに、整備記録簿などの履歴を照合して一致しない場合は注意が必要です。ちなみに、車検証に走行距離が記載されるようになったのは2004年(平成16年)からです。すべての356から993まで、すべての空冷モデルはそれ以前に生産されています。つまり、2004年以前に走行距離の改ざんが行われた個体を追跡するのは極めて困難であり、唯一の手がかりは整備記録簿のみ、ということになるのです。

930をはじめとして、安心して空冷911を手にいれるための「良いショップ」の条件として、自社で整備工場を持っているかは重要なポイントです。さらに、ノウハウや経験値をはじめとするメカニックのキャリアも重要です。各世代の911の新車あるいはベストなコンディションを熟知し、いかにしてその状態に近づけることができるか。専門性が非常に問われるクルマです。

この専門性は、修理や部品の交換、エンジンおよびトランスミッションのオーバーホール、レストアなど、さまざまな領域で求められます。メカニックによる正しい調律と、オーナーの乗り方次第で、数十年も前のクルマとは思えないほどのハイパフォーマンスを発揮できるポテンシャルを秘めているのです。調子の良い空冷モデルはエンジンが軽快にまわり、この時代のポルシェが精密機械であることを強く実感できるほどのフィーリングを堪能することができます。それはまさに「やみつき」になるほどの強烈な体験となるでしょう。

さらに、この専門性は北参道ガレージの店頭に並べるにふさわしい販売車両なのかを見極める際にも不可欠な要素です。過去のオーナーが大切に車を扱ってきたのか、不具合箇所はないか。大規模な修理が必要な事故を起こした個体ではないか…など、的確な判断が求められます。

北参道ガレージ横浜FACTORYの強み

「ヨーロッパ車オーナーの不安を解消し、末永く愛車と向き合える環境を提供すること」が、私たちの北参道ガレージ横浜FACTORY最大の強みといえます。

北参道ガレージの最大の特長は、ヨーロッパ車を「購入からメンテナンス、買取まで」ワンストップで安心して任せられる体制にあることです。

その基盤となっているのが、他社にはない「高い整備力」です。

当社のメカニックは、かつて海外自動車メーカーの輸入総代理店に長年在籍し、第一線で経験を積んできたスタッフです。また、車両販売においても、エンジンやトランスミッションといった機関系からブレーキ、サスペンション、電装系に至るまで徹底した点検・整備を実施。安心してお乗りいただける状態に仕上げた車両のみを店頭に並べる姿勢を徹底しています。

特にポルシェについては、空冷時代の356やナローをはじめ、最後のモデルにあたる993まで精通した専任のメカニックが在籍しています。空冷モデルは新しいモデルでも生産から30年以上、356に至っては半世紀以上も経過しており、個体ごとに繊細な調整が不可欠です。専任のメカニックが長年にわたって培ってきたノウハウで対応可能ですのでご安心ください。

また、996以降の水冷モデルの911を含め、幅広い世代のポルシェに対応できる体制を整えています。さらに最新のポルシェについても、専用テスターを活用しつつ、お客様とのご相談のうえ最適な整備プランをご提案しています。

さらに、整備を支える拠点として、横浜FACTORYには4基のリフトを完備。これに加えてエンジンを組み立てる専用スペースや車両の保管スペースを備えており、合計で10台以上を収容できる広さを確保しております。その結果、さまざまな車種を同時に扱いながらも、一台一台に丁寧な整備が行える環境を実現しているのです。

そしてお客様が足を運びやすい場所としてご用意したのが白金店です。ショールームとして在庫車両を展示しており、気になるモデルを実際にご覧いただけます。また、車検やメンテナンス、買取のご依頼窓口としても機能しており、販売とアフターサービスをつなぐフロント拠点として役割を担っています。

このように、「徹底整備による販売」→「安心のアフターメンテナンス」→「本来の価値を見極める買取」までを一気通貫で担えるのは、北参道ガレージが培ってきた確かな整備力があるからこそ。

この「強み」が本物であることを、お客様ご自身の目で実感していただけることを願っております。

まとめ

すべての現存する930型の車齢が35年を越えたいま、最新モデルである992型のようにノーメンテナンスで乗ることは不可能です。交換部品や調整が必要な箇所、さらにはオーバーホールなど、近い将来、メンテナンスプランとして意識しておかなければならないポイントがいくつも存在します。

現在、市場に出回っているすべての930型も、見た目がどれほどきれいであったとしても、なんらかの手をいれる必要があります。それは当店の在庫車両であっても例外ではありません。ポルシェ911のような、高い精度が求められるクルマであればなおさらです。

せっかく手に入れた憧れの930型がトラブル続きで、しかも整備工場へ入庫するたびに多額の修理費用を請求されてしまっては百年の恋も冷めてしまいます。「こんなはずじゃなかった…」と、失意のうちに930型のポルシェを手放してしまう。それだけは何としても避けていただきたいのです。

先述したように、ポルシェに精通した専任のメカニックが販売車両として店頭に並べる前に個体の「ダメ出し」を行います。必要に応じて整備を行い、近々交換や調整、オーバーホールなどが必要と思われる箇所を把握し、極力「ブラックボックス」の状態から脱したうえで販売車両として店頭に並べます。

そこからさらにコンディションをあげていくには、オーナーとなった方と主治医である専任のメカニックが二人三脚で行なっていきます。ご予算、クルマの扱い方、主に走るステージ、運転のくせなど、オーナーとなられた方の特徴・特性を理解し、その方にあった整備を行います。オーナーがもっとも快適かつスムーズに、楽しくポルシェを楽しんでいただけるよう、可能な範囲で独自のセッティングを煮詰めていくのです。

こんなことができるのは、長年にわたって空冷モデルのポルシェに触れてきた専任のメカニックがいるからこそ、なのです。

それほどまでに担当するメカニック、つまりは「主治医」の存在が重要であるかがお分かりいただけたかと思います。知識が少なくて古いポルシェを買うのが不安な方でも、あるいは「せっかく930に乗るなら確かなコンディションの個体に乗りたい」という方でも、安心して憧れの空冷911を手に入れることができます。

念願の空冷911を手に入れたい方、手に入れたはいいもののメンテナンス先が見つからない方は、ぜひ北参道ガレージにご相談ください。